通称、レモン牛乳。正式名は「関東・栃木レモン」という。
昭和の戦後まもなく誕生した乳飲料で、宇都宮市の関東牛乳が「関東レモン牛乳」の名称で発売していた。
甘いものが貴重な時代、子供にとっては特別な日に給食などに出される贅沢品でもあったようだ。以来、人気は衰えず、懐かしい栃木の味として長い間親しまれてきた。
ところが、平成16年に関東牛乳は廃業し、レモン牛乳は姿を消した。
しかし、慣れ親しんだ味が無くなるのは寂しい、と多くの声があがり、翌年、栃木乳業が製造法を受け継ぎ、「関東・栃木レモン」として復活を遂げたのである。
蘇ったレモン牛乳は人気が再燃。テレビ番組で紹介されるなど、その知名度は全国版になりつつあり、今や県民だけのレモン牛乳ではなくなった。
レモン牛乳は、栃木県産の生乳に砂糖やレモン香料などを加えたレモン色の乳飲料。
レモン果汁を加えると酸で牛乳が固まってしまうため、実際には果汁は入っていないが、ミルクのまろやかさに加えてほんのりと甘酸っぱい香りとともに広がる甘さがあり、それはなんだか無性に懐かしい初めて飲んでも、そう感じてしまう不思議な魅力がある。
子供のころの思い出にこんな味があったような気がしてきた…。
栃木名産の苺「とちおとめ」を使った「関東・栃木イチゴ」が発売。レモンとともに人気上昇中。
”懐かしの味”存続へ
「知名度のある商品を残そう」と、関東牛乳から製造法を継承した栃木乳業。
無脂肪牛乳や生乳、砂糖などを原料にする関東レモンは戦後まもなく開発された。
風味が効いてのどごしが良いのが特徴で、学校関係などでの販売を通し、売れ筋商品の一つになった。
最近まで、一日8,000~10,000個が生産され、宇都宮市内のコンビニエンスストアでも取り扱いが続いていた。
しかし、少子化の影響や授業日数の減少で販売数量が低下、売上高も年々減少傾向が進み、後継者難問題も解消できすに関東牛乳は解散。
「わが社の商品は市民から愛されていただけに、製造中止を惜しむ声が相次いだ。」
(関東牛乳の阿部恵次取締役)
製造法の継承
老舗の味の消滅を聞いて、栃木乳業は関東牛乳より原材料から製法までノウハウの全てを受け継いだ。紙パックのデザインはそのまま残し、知名度の高い「関東レモン」の名称は「関東・栃木レモン」を一部変更。
「関東レモンは長い歴史で培われた根強いファンが存在する特別な商品。それに見合う自信の持てる商品が出来た。今後、関東牛乳の得意先に売り込んでいきたい。」
(栃木乳業の松倉敬士社長)
日本経済新聞より抜粋(2008年1月26日掲載)
黄色で甘く懐かしい味の「牛乳」
栃木県内でしか買うことが出来ないご当地ドリンクはー。
答えは「関東・栃木レモン」
生まれも育ちも県内という人には「レモン牛乳」といった方がピンとくるかもしれない「レモン色をした牛乳」だ。
関東牛乳が牛乳に砂糖を入れた甘い飲み物をと思ってつくったのが「関東レモン牛乳」だった。
「当時のはやりだったフルーツ牛乳の一つとしてレモンを選んだのでしょう」と語るのは現在、製造を手掛ける栃木乳業の松倉敬士社長。商品は学校やイベントなどで販売されて人気商品に成長した。